風力発電の基礎知識(構造・しくみ)

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環境シンボルとしても注目度の高い風力発電の仕組みや、構造などを紹介しています。風力発電は機種により性能がそれぞれ異なりますが、基本構造はどれも同じです。
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風力発電

風力発電について

1.風のエネルギーとパワー
2.風力発電の効率
3.風力発電の特徴
4.風力発電システムの構成
5.設置環境の観察
6.風力発電機の機種選定
   

1.風のエネルギーとパワー

 

 風力発電は、風の流れを利用して風車を回し、その動力で発電機を回転させて発電します。風は、非常に軽い空気の流れですが、時には頑丈そうな建物さえ倒壊させてしまうほどのエネルギーを有していますので、なかなかあなどれません。

 風のエネルギーは、質量を有する流体であることから、運動エネルギーです。運動エネルギーは、物体の「質量」と「速度の2乗」の積の2分の1ですので、次式が成り立ちます。(運動エネルギーの法則)

風の運動エネルギー=(1/2)×「風の質量[kg]」×「風速の2乗」

 上式に基づいて、風力発電で利用する際の風のパワーを計算するには、単位時間あたりに利用できる風の量を決めなければなりません。風の量は、風が通過する断面積と、風の速さ、すなわち風速によって求めることが出来ます。ここで言う断面積とは、風力発電機のローターが風を受ける受風面積(掃気面積)に相当します。上式における「風の質量」は、所定の断面積を単位時間あたりに通過する空気の質量のことですので、断面積[m^2]と空気密度[kg/m^3]、および風速[m/s]の積によって表されます。

*風の質量[kg]=断面積[m^2]×空気密度[kg/m^3]×風速[m/s]

 よって、運動エネルギーの式の「風の質量」の項にこれら(*印)を代入すると、下式のような「風のパワー」の式が得られます。(パワーとは、単位時間あたりのエネルギー量のことです)

風のパワー[W]
=(1/2)×「断面積[m^2]×「空気密度[kg/m^3]」×「風速[m/s]の3乗」

 この式が、風力発電を知る上で最も重要な式であり、風力発電にチャレンジするのであれば、この式の意味を理解しておく必要があります。この式から分かる大切なことを以下に列記します。

(1)風のパワーは、断面積に比例する。
断面積とは、風力発電機の受風面積のことですので、ローターの掃気面積に等しいことが分かります。また受風面積は、ローター直径の2乗に比例しますので、風力発電機のローター直径が2倍になると、得られる風のパワーが4倍になる、ということが分かります。

(2)風のパワーは、空気密度に比例する。
空気密度は、その場の気圧や空気中の水分量によって変化します。例えば高所では、気圧が小さくなりますので、空気密度も小さくなります。専門的には、気圧の低い高所に風力発電システムを計画する際には、空気密度低下に伴う風車出力の減少を考慮に入れますが、一般的な場面においては、ほとんど気にしなくても良いでしょう。通常、平地における空気の密度は、おおよそ1.2[kg/m^3]です。

(3)風速の3乗に比例する。
このことは、とても重要です。「風速の3乗に比例する」とは、風速が2倍になれば風のパワーは8倍に、風速が3倍になれば風のパワーは27倍になる、ということを意味しています。反対の言い方をすれば、風速が半分の時には、風のパワーは8分の1になる、ということです。
従って、風速次第で、風のパワーが大きく変動し、すなわち風力発電機の出力もそれに応じて、大きく変動するということが理解できます。

風力発電は、風車直径の2乗に比例し、風速の3乗に比例する。


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2.風力発電の効率

   前項で、風のエネルギーとパワーについて説明しましたが、では実際に、風力発電システムでは、どれくらいの電気が得られるのかについて考えてみます。風のエネルギーを最終的に電気エネルギーに変換して取り出すには、いくつかのステップがあり、その全ての各段階においてロスが生じますので、実際に使える電気量は、風の有するエネルギーの一部になります。
 まず、風のエネルギーを風力発電機のブレードによって回転の運動エネルギーに変換する効率についてですが、風の流れのもつエネルギーを100%利用しようとすると、風のもつ運動エネルギーをゼロにしてしまうことになります。これはすなわち、風力発電機によって風の流れを完全にせき止めてしまうことに他ならず、風の行き場が無くなってしまいます(つまり、風力発電機に風が一切流入できない状態です)。
 また反対の見地からしますと、前項の説明の通り、風のエネルギーは、風速の3乗に比例することから、出来る限り少しでも大きな風速の風が風力発電機を通過することが望ましいことも明らかですが、このためには、出来る限り風をスムーズに風力発電機の後方(風下側)に受け流してやる必要があります。とは言え、まるっきり後方にただ流してしまったのでは、エネルギーを回収することが出来ません。

 これらの単純な理屈からも、どの程度、風を後方にエネルギーを残したまま逃がしてやるのが効率的となるのか、ちょうど良いポイントがあることが想像できます。

 このことについて理論的に解析したところ、「風エネルギー」を「運動エネルギー」に最も効率的に変換するには、風力発電機の後方側風速が3分の1に低下するようにした場合で、その際の最大効率は、約59.3%であることが証明されています(これを「ベッツの法則」「ベッツ限界」などと呼んでいます)。
 上記の値は、理論的に導き出された理想上の限界値であり、実際の風力発電機用風車においては、20〜45%程度のエネルギー変換効率となっています。
(一般に高効率型の風車は、高速回転型となりますので、騒音や寿命、安全性を犠牲にせざるを得なくなる傾向があり、また設計点から外れるような幅広い風速域で柔軟な性能を発揮する目的などからも、必ずしも最大効率だけを優先した風車デザインが採用されるわけではありません。)

 その他、発電機や送電などによる電気的な効率、回転力の伝達などの機械的効率などがありますが、これらのエネルギー効率(変換効率や伝達効率)は、概ね80〜95%程度と上記の風車効率と比較して、ずっと大きな値となっています。

 以上から、風力発電によって得られる電気エネルギー量は、風車が受ける風エネルギーのおよそ10〜35%程度であるとされています。
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3.風力発電の特徴

   風のエネルギーやパワーは、風速の3乗に比例することから、風速次第で風力発電機の出力も大きく変動することになります。実際の自然の風は、常に風速が変化し、また日格差や季節格差も大きいのが一般的であり、常に風速が一定の安定した風が得られるような環境はありません。従って、風力発電機の発電特性も時間変動や日格差、季節格差が非常に大きく、ピーキーな発電特性であることが特徴です。

 風力発電システムを計画する上で、少しでも大きな風速が得られる場所を選定することは大変重要なことです。また、ただでさえピーキーな発電特性の風力発電ですので、風速や風向の変動が小さい安定的な風が得られる場所を選ぶことも大切で、特に風向変動が大きな場所では、風車へのダメージも飛躍的に大きくなり、寿命を縮めるだけではなく大変危険ですので、ご注意ください(後述)。


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